「AI」の正体について考える

弊社が取り扱っている「Lanky Porter」は運搬型“AI”サービスロボットです。我々も日々業務の中で何となく理解している「AI」。今回はその歴史に少し触れながら、今日の世界の「AI技術」のレベルから、Lanky Porterに搭載されているAI技術を客観的に考察していきたいと思います。
AIの誕生
「AI」という言葉が初めて登場したのは1956年にアメリカのダートマス大学でおこなわれたワークショップだとされています。このワークショップは「ダートマス会議」といわれ、人工知能の研究分野を確立し、現在の「AI技術」の礎となりました。この時から「第一次AIブーム」が始まり、1960年代まで続きます。しかし、当時の技術では複雑な要素が絡み合う課題には対応できないとの指摘があり、ブームは去ることになります。
それから、約20年後の1980年代に「第二次AIブーム」がやってきます。このブームでは「知識」に着目されました。人工知能のプログラムがコンピュータ内に溜め込まれた膨大な知識を利用して推論をおこない、病気の診断や法律の解釈が可能になり、様々な問題を解決できるようになりました。しかし、元となる知識、いわゆる「データ」は人間の手で入力しないといけなかったため、限界がありました。その他にも問題があり、またしてもブームは去っていきます。
そして、2000年代から現在まで続いているのが「第三次AIブーム」です。今では聞かない日は無い「ビッグデータ」を利用して、人工知能が自ら知識を得ていく「機械学習」が中心となる技術です。また、その得た知識の要素を人工知能みずからが定義する「ディープラーニング」も、よく聞くワードとなりました。このディープラーニングの技術がさらに発展することで人間と同じように「学習、推測をして判断をする」ことが可能になってきます。人間が取得できるよりも膨大な情報、知識を人間と同じように解釈して物事の判断がくだせるようになると、人工知能が人間を超えたといわれても不思議ではありません。俗にいう「シンギュラリティ」が起こるのも、そう遠くないかもしれません。
さまざまなタイプのAI
これまで、「AI」の発展を歴史を振り返ってきました。幾たびのAIブームが到来し、技術力が徐々に進歩してきたことで、現在の「ディープラーニング」まで繋がるわけですが、全てのAIがディープラーニングをするわけではありません。AIの技術は一般的に4つのレベルに分けられると言われています。では、次にそのAI技術のレベルについて述べていきます。
まずはレベル1です。レベル1は単純な制御プログラムをを搭載した製品をさします。例えば、室内温度によって暖房や冷房の温度調節をするエアコンや洗濯物の重さによって、洗い方を変える洗濯機などが該当します。
レベル2はすでに、いくつか登録をされているパターンから外部状況に応じて最適な動作をするものです。センサーなどで物体検知をして移動をする掃除ロボットが当てはまります。
レベル3は「機械学習」がおこなえる人工知能です。先にも述べたように人工知能がみずからビッグデータをもとに判断をして、パターン化をおこない最適な対応をします。また学習を繰り返し、そのパターンを増やしていきます。よくプロ将棋士と対戦している将棋ソフトが代表されます。
最後にレベル4です。レベル4はレベル3と同じく機械学習をする人工知能ですが、ディープラーニングをおこないます。人間が「こうした方が良い」と助け舟を出さなくても、みずからがルールを決めて解決方法を見つけ判断します。
一般的に「人工知能」と呼ばれるものはレベル3〜レベル4になります。しかし、私たちの生活の中ではレベル1やレベル2のAI技術が使われている製品が多くあります。気付かないうちに身の回りに溢れている「AI技術」に現代の私たちの生活は支えられています。
Lanky PorterのAI機能とは
では、弊社が提供する「Lanky Porter」に搭載されているのはどのレベルのAI技術なのでしょうか。上記の4つのレベルから鑑みると、「レベル2」に該当するかと思われます。空間認識をおこない障害物検知をして、自律走行をおこなうことにレベル2のAI技術が搭載されています。複数箇所へ物を運ぶ際には、最適なルートを計算して、最短で効率よく運搬をすることが可能です。また、人が近づくと顔を認識して、お客様対応をすることもできます。
「AI」と聞くと、現代では「ディープラーニング」を思い浮かべます。しかし、全ての「AI」が「ディープラーニング」ができると思ってしまったり、「機械学習」と「ディープラーニング」を混同させてしまったりと「AI」に関する知識が曖昧になってしまっていることも多いのではないでしょうか。「AI」という言葉が一人歩きをしてしまっている状況で、その本質を見極めて本当に必要な「AI技術」とは何かを考えることが今後大切になってくると考えます。